相続税を計算するとき葬儀費用はどこまでが控除できる範囲なのか?
更新日:2023年12月4日
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相続税を計算する時、お通夜やお葬式にかかった葬儀費用を控除することができます。
葬儀費用を差し引くことで相続税負担もおさえられます。
ただ、お通夜やお葬式にかかったすべての葬儀費用が認められているわけではありません。
どこまでの範囲で控除が認められるのか解説していきます。
相続税法での葬式費用の控除範囲
国税庁では控除できるものとして以下のとおりに定めています。
(1) 葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用参照:国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
しかし、具体的に『これが控除できるもの、できないもの』の表記はありません。
なぜなら、お葬式の形式が地域や宗教、宗派などによって異なり、葬儀の種類も一般葬、社葬、家族葬などさまざまです。
そのため、相続税法の中で厳密にひとつずつ定めや範囲を設けるのは困難であることから「通常葬式に必要な支出」を費用として控除できるという扱いをしています。
では、具体的に費用となるもの・ならないものを説明します。
葬式費用として控除できるもの
お通夜、告別式にかかった費用
葬儀会社に支払った費用は対象になります。
請求書とあわせて明細がお手元にあると思います。祭壇の設営を含め、棺や骨壺、ドライアイス、霊柩車など葬儀の費用一式が該当します。
火葬・埋葬・納骨費用
葬儀の一連の流れに含まれますので費用となります。
また、納骨方法は樹木葬や納骨堂に預けるなど様々ですが、こちらも費用となります。ただ、納骨式の為ための食事代等は控除対象とはなりません。
遺体の運搬、捜索費用
葬儀場等への霊柩車や寝台車の運搬費用です。また、運搬費用だけでなく、故人が行方不明等の場合、捜索にかかった費用も控除の対象となります。
死亡診断書の発行費用
医師が発行する死亡の原因や時期が記載された書類です。役所には死亡届とセットで提出しなければなりません。
葬儀とは直接関係ない費用ですが、役所に死亡届をを出すことで火葬の許可を得ることができます。
お心付け
お手伝いをしてくれた方たち、例えば香典などの受付をしてくれた方、受付の方などへの謝礼も控除対象となります。霊柩車の運転手への心付けも同様に控除対象です。
ただし、お渡しする金額に明確な決まりはありませんが喪主の気持ちを示すものです。極端に高額な場合は控除対象として認められないこともあります。
社会通念上の範囲内で2,000~5,000円くらいが相場ではないでしょうか。
お通夜、告別式時の飲食代
親族や参列者のために提供したお食事や飲み物も費用として認められています。通夜のあとの食事や精進落としなどです。
飲食店の利用やスーパーマーケット、コンビニエンスストアで購入したものも対象となります。
お布施、戒名料など
お坊さんが執り行ってくれた戒名や読経してくれた際に支払うお布施、お車代も費用となります。
葬式費用として控除できないもの
香典返し
香典は非課税収入とされています。また、香典は遺族が受け取るもののため、香典返しは葬儀費用と認めることができません。
香典返しとは別に参列者へお礼を渡すのであればそちらは葬式費用となります。
墓地や墓石の購入費
購入は一般的と考えるかもしれませんが、お墓を作らなければならないと決まりはないのと、葬儀に直接の関わりがないため費用にはなりません。
仏壇、仏具の購入費
墓地、墓石の購入費と同様の認識となります。
四十九日法要の費用
故人を供養するための法要で、葬儀と直接関係がないので費用にはなりません。
ただし、四十九日法要の時に納骨をする場合に発生した納骨費用は葬儀費用に含めることができます。その場合は、領収書や請求書への記載内訳にきちんと納骨代の記載があることが必要です。
解剖費用
死体の解剖などは、お葬式自体と直接関係がないのと、すべての人に対しておこなわれることではないため費用になりません。
葬儀費用を控除に含めるための注意点
葬儀費用として相続税の控除に含めるには、領収書やレシートがあることが原則です。
しかし、お寺へ渡すお布施や心付けは領収書が出ないことが一般的です。
そういった場合は「誰に、いくら、何のために、いつ」といったメモを残したり、支払ノートなどで管理をするようにしましょう。そのメモで控除が認められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
お葬式の費用も数百万円かかる場合もあります。相続税の計算上、葬式にかかったお金のどの部分が費用となるかは、相続税の負担額にもある程度影響が出てきます。
相続税を多く支払う必要がないよう、きちんとまとめておくことが大切です。
ただし、実際に費用になるか、ならないかの判断に手間取ることもあるかもしれません。
具体的な内容については税務署や税理士等の専門家へご相談ください。
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