【税制改正】新しい相続時精算課税制度は年110万円の控除

公開日:2023年5月15日

さいたま市浦和で相続・相続税に関するご相談を受け付けています、埼玉あんしん相続相談室です。

 

令和5年度の税制改正では相続時精算課税制度において新たな非課税枠が設けられました。

今まで相続時精算課税制度は適用するメリットが感じられないことも多く、贈与した年は確定申告をしなければならない手続きの手間がありました。

現行と改正後の内容など解説します。

 

相続時精算課税制度とは

まず、相続時精算課税の制度の内容を確認しましょう。

原則60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫に生前贈与として贈与ができる制度です。
非課税となる贈与額が2,500万円までとなり、2,500万円を超えた部分から20%の贈与税がかかります。

あわせてご参照ください>>>

「相続時精算課税制度を使った方がお得な人と注意点について」

「相続税対策|相続時精算課税制度のメリット・デメリット」

この制度の注意すべき点は、相続が発生したときに制度を適用した贈与のすべてを相続財産に足して相続税を計算しなければならない点です。

また、制度を一度選択すると暦年贈与に戻すことはできません。

暦年贈与についてはこちら>>>「【税制改正】暦年贈与の加算期間変更」

 

新しい相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は贈与額の大小に関わらず、贈与をした年は必ず確定申告をしなければなりませんでした。

その手続きの負担から、今まで相続時精算課税制度を利用する方が多くないこともあり、利用しやすくするために、贈与が110万円以下であれば確定申告を不要とする改正を加えました。

また、確定申告が不要なだけでなく、110万円以下の贈与は相続発生時に相続財産に含める必要もなくなります。

つまり、相続時精算課税制度を適用した110万円以下の部分は贈与税も相続税もかからないことがこの改正のメリットのひとつになります。

注意したいのは暦年贈与の基礎控除110万円とは別物となりますので、途中で暦年贈与に戻ったり、相続時精算課税制度と暦年贈与の併用はできない点です。

 

現行と新制度の違いと適用時期について

改正後の相続時精算課税制度についてまとめると以下のようになります。

・相続発生時の相続財産への持ち戻し
(現行)贈与した全額
(改正後)年間110万円を控除した贈与額

・贈与税の申告
(現行)贈与をした年は申告が必要
(改正後)110万円を超える贈与があった年のみ申告が必要

これらの改正が適用されるのは2024年(令和6年)1月1日以降の贈与からになります。

それまでは110万円の控除はありませんので、制度を適用して2023年に贈与をした方は確定申告をお忘れなく。

 

まとめ

相続時精算課税制度の改正について解説をしました。

110万円の控除を設けることで、110万円以下の贈与は確定申告をしなくて良くなり、制度を利用するハードルが下がった印象があります。

贈与税の負担だけでなく相続税の負担軽減も考えられる制度ですが、適用をお考えの場合は、安易に申請せず、まずはシミュレーションをおこないましょう。

暦年贈与と相続時精算課税制度どちらを選択するべきかはシミュレーション次第です。

まずは、相続に詳しい税理士など専門家へご相談ください。

 

 

 

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