相続税対策|相続時精算課税制度のメリット・デメリット

公開日:2021-09-06

さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を承っています。埼玉あんしん相続相談室です。

生前対策として子どもや孫に現金などの贈与をしている方や検討している方は、相続時精算課税制度という特例を目にしたことはありませんか?

相続時精算課税制度は最大で2,500万円まで贈与税がかからずに、子どもや孫に贈与ができる制度です。

大きな節税対策となりそうな制度ですがメリット、デメリットを説明しますので、よく検討してから利用しましょう。

 

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、「60歳以上の祖父母や父母から18歳以上(※)の子や孫へ財産を贈与する場合、2,500万円までの贈与であれば贈与税が発生しない」制度です。

※令和4年3月31日以前の贈与では20歳以上の子や孫となります

しかし、この制度を利用して贈与をおこなっていた方が亡くなった場合、贈与した金額は相続財産に含み、相続税を計算します。

「相続時精算課税」という名称の通り、贈与された分は「相続の時に精算する」という意味になりますので、実質的に相続税の節税対策には繋がりません。

 

相続時精算課税制度のメリット

まずは、メリットから説明します。

1)一度に2,500万円まで贈与できる

通常、年間110万円を超えて贈与した場合は贈与税が発生しますが、相続時精算課税制度を利用すると、年間の贈与額にかかわらず2,500万円までは贈与税が発生しませんので負担が抑えられます。

また、この制度は贈与をした者それぞれに適用できる制度なので、祖父祖母の両方から贈与を受ける場合は最大5,000万円まで贈与税がかかりません。

2)遺産分割の争いを防ぐ

不動産は遺産分割が難しく、争いのひとつになることもあります。

そのため、生前に誰に引き継いでもらいたいかを明確にして、実際に贈与することで相続争いを避けることもメリットのひとつです。

3)将来値上がりが予想される財産の節税対策

相続が発生した時は、贈与をした時点の評価額が用いられます。

もし、値上がりが予想される不動産や上場株式などを持っている場合、相続時精算課税制度を利用して、財産を分けておくと相続税の節税が見込まれます。

ただし、財産の価値がどの程度値上がりするかは予想でしかなく、不確定要素が大きいので、検討する際は注意が必要です。

 

相続時精算課税制度のデメリット

では、次にデメリットをご案内します。

1)小規模宅地等の特例が利用できない

生前、相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、相続が発生した時は小規模宅地等の特例が適用できません。

資産価値が大きい土地などは、小規模宅地等の特例が適用できると最大80%まで評価額が減額されるため大きな節税効果を発揮します。

まず、小規模宅地等の特例が適用できるか調べてから、贈与をするか判断したほうが良いでしょう。

小規模宅地等の特例のついて詳しくはこちら ▶▶▶ 「相続が発生|小規模宅地等の特例とは?」

2)暦年贈与110万円の非課税が使えない

一度でもこの制度を利用すると年間110万円までの贈与は非課税になる暦年贈与は使えません。

相続時精算課税制度を利用して、多額の贈与をした方が税金が抑えられるのか、長年かけてコツコツと贈与を続けた方が税金が抑えられるのか、よくシミュレーションをする必要があります。

3)手間やコストがかかる

相続時精算課税制度を利用すると、贈与税の申告が必要になります。納税額がない場合でも申告をします。

2,500万円までが非課税なので、数回に分けて贈与をするのであればその都度、申告をしなければなりません。

また、不動産の贈与では登録免許税が2%かかりますが、相続時の登録免許税は0.4%で済みます。

申告の手間や、コストの負担は事前に視野に入れておきましょう。

 

まとめ

相続時精算課税制度は、値上がり益を期待する財産に対する将来の相続税負担を減らす効果がある一方、撤回ができなかったり、負担のかかるデメリットもあることを理解しましょう。

そして、贈与をする者も贈与を受ける者もお互いが将来の相続税についてよく認識しておくことが大切です。

相続税はシミュレーションをすることができますので、税理士などの専門家へ相談してから、相続時精算課税制度の利用を検討しましょう。

 

 

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