贈与税と相続税、どちらが得か?税率で比較してみた
公開日:2023年6月5日
さいたま市浦和で相続・相続税に関するご相談を受け付けています、埼玉あんしん相続相談室です。
ロイヤルパインズホテル浦和1階に相続ラウンジをオープンしてから、相続について興味関心を持っていただき、生前対策のご相談が増えてきました。
ご相談の中で多いのは贈与をした場合の贈与税についてです。
お話を聞いてみるともしかして相続の時の方がより財産を遺せるかもしれないというケースもありますので、今回は贈与税と相続税の税率について比べてみます。
贈与税率と相続税率の比較
早速、贈与税と相続税の税率表をお見せします。
<贈与税率表>一般税率
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率」
「課税価格」とは贈与をした価額から110万円の基礎控除額を差し引いた後の金額のことを指します。
贈与税率は『一般税率』と『特例税率』がありますが、今回は『一般税率』(兄弟間、夫婦間、親から子へお贈与など)を例にして説明します。
<相続税率表>
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」
相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が基礎控除となりますので、遺産総額からこの基礎控除を差し引いた金額が課税価格となります。
贈与税と相続税どちらがお得か?
相続税の概算を計算する場合は、所有している財産総額によるため、一概に提示することはできませんが、今回は贈与税と相続税の税率を比較するために、単純な例を用いて考えてみましょう。
例) 財産総額/5,000万円 法定相続人/1名 |
①生前に贈与をおこなわず、全財産を相続する場合
課税遺産総額は1,400万円なので、<相続税率表>の課税価格3,000万円以下が該当します。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
■支払う税額は 160万円
②500万円生前贈与した場合
500万円を生前贈与しているので、相続時は4,500万円の財産総額となります。
課税遺産総額は900万円なので、<相続税率表>の課税価格1,000万円以下が該当します。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0万円 |
■支払う税額は 143万円(53万円+90万円)
③1,000万円生前贈与した場合
1,000万円を生前贈与しているので、相続時は4,000万円の財産総額となります。
課税遺産総額は400万円なので、<相続税率表>の課税価格1,000万円以下が該当します。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0万円 |
■支払う税額は 271万円(231万円+40万円)
いかがでしょうか。
5,000万円の財産を所有している場合は、単純に考えると1,000万円生前贈与すると相続税より高い税金を支払うことになりますね。
同じ財産でありながら、時期や方法手段によってかかる税金が変わってしまうのです。
贈与税がかからないケースもある
高額になりやすい贈与税ですが、贈与税がかからない対策や特例もありますので説明します。
・110万円以下なら贈与税はかからない
ご存じな方も多いでしょう。
1年間に受けた贈与の額が110万円以内であれば非課税となります。
毎年コツコツと110万円づつ贈与をし続ければ、贈与税がかかることなく財産を渡すことができます。
ただし、令和5年度税制改正によって令和6年からルールが変更されます。
詳しくはこちら>>>「【税制改正】暦年贈与の加算期間変更」
・相続時精算課税制度を利用すると2500万円まで贈与税がかからない
「相続時精算課税制度」とは、生前に贈与された時点で贈与税を支払わずに、贈与をした方(贈与者)が亡くなった時に、相続財産に含め相続税として生産する制度です。
この制度は2,500万円までが非課税となる特例ですので、もし2,500万円を超えて贈与をした場合は、超えた分の贈与税を支払います。
ただし、適用するためには要件がありますので、確認と検討をよくおこなう必要があります。
「相続時精算課税制度」も税制改正により控除に変更があります>>>「【税制改正】新しい相続時精算課税制度は年110万円の控除」
・教育資金の一括贈与で1,500万円まで贈与税がかからない
両親や祖父母が子どもや孫のために、入学金や授業料などのために資金を贈与する場合、1500万円まで非課税となります。
ただし、金融機関において教育資金のための口座を開設し、そのための資金を子の口座で管理する必要があります。
・住宅取得等資金贈与で最大1500万円まで非課税
住宅を購入したり、新築するときに両親や祖父母から資金の援助を受けることもあるでしょう。
こちらも一定額までの贈与税が非課税になりますが、住宅の種類(省エネや耐震など)や契約締結日によって金額が変わり、そのための要件も定められています。
国税庁ホームページや相続税に詳しい専門家へご相談のうえ、資金援助を検討したほうが良いでしょう。
まとめ
贈与と相続での税率の違いを例を挙げて解説しました。
贈与額や遺産総額によって、どの方法が税負担が少なく済むかはシミュレーションをしてみることが一番です。
ご家庭によって状況は違いますので、一度専門家のもとシミュレーションをしてみましょう。
相続税に詳しい税理士がおすすめです。
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