解決事例⑥現金が増えていく/埼玉浦和で相続のご相談

状況

既にお母様は亡くなっており、お父様が亡くなってご相談に見えました。

相続人は3名のお子様でお亡くなりになった後、ご兄弟の間ですでに分割協議は終了しており、遺産分割協議書の作成も終了していました。

初回面談時、保有財産の種類は現金、預貯金、有価証券、生命保険金。

一見すると単純な相続のように思えますが、「現金」の存在が相続人と私たちを苦しめた案件でした。

 

対応

通常申告の際には「手元現金」としてお財布に入っていただろうほどの金額を財産の1つとして申告します。

預金や有価証券は亡くなった日付で残高証明書を発行してもらうため金額が変化することはあり得ませんが、初回面談時に相続人が言った現金の金額は8千万円ほどでした。

しかし、それは金庫にあり亡くなったお父様の現金と自分の現金が混ざっている、とのことでした。通帳を預かり、過去7年ほどの通帳を全てチェックしていきます。1ヶ月分のだいたいの生活費を除く出金は現金を金庫にしまったとみなし、大きな買い物や支払いがなかったかをヒアリングしました。

その結果、

私たち→「1憶円ほどはあるのでは?」

相続人→「そうかもしれません。」

後日、通帳の精査が進み・・・

私たち→「1憶3千万円ほどではありませんか?」

相続人→「そうかもしれません。」

このようなやり取りが何度かあり、結局当初伺った話から5千万円現金は多くなりました。

しかし問題はこれで申告すれば良いというわけではありません。既に作成してあった分割協議書は現段階より5千万円少ない金額で作成しており、長男は長女と次男へ支払いも済んでいました。

相続の申告には、様々な添付書類(分割協議書や謄本その他諸々)が必要であり、かつ第1表と言われる用紙に各相続人の押印が必要です。

兄弟2人に押印を求める際、「え?聞いてた金額より多いじゃない!」「え?分割協議書が当初のものと違う!金額も違う!こんなにあるならもっと払ってよ!じゃないと印鑑は押せない!」などという揉め事に発展する可能性もあります。

また金庫のお父様の現金が本当に1憶3千万円である証明は誰にもできないのです・・・。

結果、法定相続分には及びませんが再度分割協議書を作成し、追加で妹たちには支払いを済ませ、事の次第を説明しご納得いただけたので、争いには発展しませんでしたが、非常にデリケートな案件でした。

 

まとめ

もしかしたら本当はもっと現金は少なかったかもしれないし、多かったかもしれません。仲の良い家族だからこそ、その辺りの管理はしっかりやっておかなければなりません。

税務署は調査対象の個人の情報は銀行取引含めほぼ網羅して訪問してきます。相続人より情報を持っていると言っても過言ではありません。故意に過少に申告したわけではないので、罰金の対象等にはならないと思いますが、調査を受けるのは決して気分の良いものではありません。

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