相続税における貸金庫の取扱いについて解説
投稿日:2023年12月12日
さいたま市浦和・大宮を中心に相続税のご相談を受け付けています。埼玉あんしん相続相談室です。
被相続人の資産価値のある財産は相続税の対象となります。
もし被相続人が貸金庫を契約していて、その中に資産価値のあるものを保管していたら解錠して確認する必要があります。そして、相続税の申告に含めなければなりません。
貸金庫がある場合の相続発生時の取り扱いを確認しましょう。
貸金庫とは
貸金庫は金融機関で申請して、利用料を支払えばどなたでも利用できます。
自宅での保管が不安なものや、重要書類や貴重品、本人にとって大切なものなど保管物は自由です。ただし、銀行や金融機関のポリシーや規定は必ず確認しましょう。
ですから、被相続人の財産となるものが貸金庫に預けられていたとしたら、遺産分割の対象となりますし、相続税の計算にも含める必要があります。
例えば、現金や貴金属、証券などが入っていた場合は相続税の対象となります。
利用料は金庫の大きさにもよりますが半年で10,000円~30,000円ほどです。
この利用料も相続税の計算対象になります。基本的には前払いが一般的なので、亡くなった日以降の分が支払い済であれば戻ってきますし、反対に未払い分があれば債務として計上する必要がありますし、未払い分は相続人が支払うことになります。
貸金庫を開けるには
被相続人が亡くなる前に、貸金庫の有無を伝えておいてくれれば相続人は対応準備ができるかもしれません。
だいたいは遺品の中で貸金庫のカギを見つけたり、預金通帳から貸金庫利用料が引き落とされていたりすることで貸金庫の存在を知ります。
ただし、貸金庫は基本的に契約者本人しか解錠することはできません。
しかし、契約者本人が亡くなった場合は誰かが代わりに解錠しなければなりません。
相続人全員から同意を得る
まず、相続人全員から貸金庫開扉の同意を得ます。
一部の相続人のみで勝手に貸金庫を開けた場合、ほかの相続人とのトラブルに発展することもあります。
銀行側もそういったトラブルにならないよう、相続人全員の同意があることで貸金庫を開けるようにしています。
必要な書類を提出して手続きをする
金融機関で手続きをする際には以下の書類を用意することが一般的です。
・遺産分割協議書や相続人全員の同意書
・被相続人の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明
・貸金庫の鍵またはカード
金融機関によって準備資料は異なる場合がありますので、確認してから準備をしましょう。
相続人立ち合いで開ける
貸金庫を開けるときは公平性の確保のため相続人全員の立ち合いが求められます。
もしどうしても立ち合いができない相続人がいる場合は、銀行に相談しましょう。銀行ごとに委任状があればOKだったり、司法書士を代理人として立ち会えばよかったり対応方法があります。
遺言書がある場合
遺言書において貸金庫開扉の執行者が指定されていた場合は、遺言の内容に従い執行者が貸金庫の取り扱い権限を持ちます。
しかし、執行者が単独で貸金庫の解錠ができたとしても、相続人立ち会いで確認したほうが良いでしょう。
なぜなら執行者ひとりで確認をした後に財産を取られたと相続人にあらぬ疑いをかけられたりすることを避けるためです。
貸金庫はばれるのか
相続税においても税務調査はあります。
税務署は被相続人の財産状況を把握することができ、金融機関等も調査する権限を有しています。ですから、貸金庫の契約状況についてもすぐに分かることとなります。
もし、貸金庫の中身が相続財産である場合はきちんと相続税の申告に含めましょう。
・現金:そのまま計上しましょう
・預金通帳:亡くなった日時点の残高を計上
・不動産関係:被相続人の所有であれば相続税評価をして計上
・宝飾品:評価額を計算して計上
・保険証書:契約内容を確認して内容に応じて計上
貸金庫の存在を知ることができたら相続税の申告から漏れることはないでしょうが、もし存在を知らず、申告後に貸金庫を見つけて、資産価値のあるものが入っていたら相続税の申告をやり直す必要があります。
まとめ
貸金庫は一部の富裕層が利用するイメージがあるかもしれませんが、認知症の方の財産管理のために利用したり、自然災害から財産を守るために契約したりと目的はさまざまです。
ただし、貸金庫の存在を遺言書であったり、エンディングノートであったり、普段の会話であったりで相続人に伝えておくことをおすすめします。
相続税の申告は相続開始後から10ヶ月以内、相続放棄は3か月以内です。
その間にすべての財産を把握して、申告か放棄か等判断しなければなりません。
ですから、遺される相続人のためにも、貸金庫を利用しているのであれば事前に共有しておきましょう。
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